さて、室内で写真を撮影しようとして、こんな写真になってしまったことはないでしょうか。
これは室内の窓際などで撮影し、被写体にあたる明かりより外から差し込んでくる光の方が強く、カメラは強い光の方に反応してしまい、その結果フラッシュが光らず、手前の被写体が黒くつぶれてしまった写真になります。
こうした状態を写真用語で「逆光(ぎゃっこう)」呼んでいます。
逆光それ自体を狙った撮影の仕方、というものもありますが、しかし一般的には逆光での撮影はスナップ写真としてはあまりいいものではありませんね。
しかし一方でカメラ任せで写真を撮影していると、こうした逆光に対しての処理はカメラ側は自動では処理してくれません。
それはフラッシュの使用を検知するには明るい部分が多すぎるからです(最近のデジタルカメラは明暗を自動で判別し、暗ければフラッシュを点灯し、明るい場合はフラッシュを制限するように作られているのです)。
そこで2010年のデジカメ講座第1回目は上手なフラッシュの使い方を紹介しましょう。
・上手にフラッシュを使うには設定方法を覚えよう
多くのデジタルカメラにはどのような方法でフラッシュを点灯させるかを指定する設定ボタンがついています。まずはそれを探しましょう。
多くの場合は背面の液晶画面の脇の十字キーの辺りに稲妻のようなマークがついたボタンがあるかと思います。
場合によっては十字キーの一つにキーが割り当てられている場合もあります。
このボタンを押す事によりフラッシュの動作がいろいろ設定できるのです。
デジカメのフラッシュ点灯にはおおむね以下の4つの動作があります。
1・自動判別
フラッシュを点灯するかしないかはカメラが自動で判断するモードです。
被写体の明暗を図ったうえで点灯する/しないを決めるので、普通に撮影するにはおおむね問題はないモードといえるでしょう。通常は特に設定しない場合は自動判別モードになっています。
ただし、上記のような逆光状態等では思う様にはいかない場合もあります。
2・強制発光
フラッシュを強制的に発光させるモードです。
上記の逆光の場合にはこの強制発光で写真を撮ってみると、窓際の被写体もクリアに撮影できます。
3・スローシンクロ発光
これは暗めの被写体を全体的に撮影したい時に使用するフラッシュの発光方法です。
一般的に暗い場所でフラッシュを点灯して撮影した場合、フラッシュの当たった被写体ははっきり写るのに対して、被写体の向こう側、主に背景になっている部分は十分に光が当たらずぼんやりした写真になってしまう事があります。
これはフラッシュの光の強さに対してシャッター速度が速すぎる為、明るい部分だけが切り取られたような写真になっているのが主な原因です。
本来、写真というのは明るい所でも暗い所でも、それぞれに応じたシャッター速度と絞りを設定すればきれいな写真が撮影できるのですが、暗所の場合は主にシャッター速度を遅く=シャッターを開放している時間を長くしないと明るいきれいな写真は撮影できないのです。しかし一方で、シャッターの開放時間が長い、という事は撮影者の手振れや被写体の移動による構図の乱れの要因にもなります。
この様に「暗所で全体的に明るい写真をすばやく撮影する」という相反する命題を解決する方法がスローシンクロ発光なのです。
このモードに設定すると、フラッシュの発光に適したシャッター速度に自動的に調整をしてくれるので、暗所で全体的に明るい写真を撮影するのにちょうどいい状態になるのです。
ただし、コンパクトデジカメの場合、フラッシュの光り方やシャッター速度についてはカメラ側の決めたタイミングでしか撮影はできません。
シャッター速度を細かく設定する様な場合は、手動設定(マニュアル)モードがあればそれで行いますが、ない場合はそこが限界とあきらめるしかない事になります。
4・発光停止
これは主に博物館や動物園の中で撮影する場合に使うモードです。
こうした館内ではフラッシュの光りで展示物に影響が出たり、動物を不用意に驚かせてしまったりする原因にもなるので、多くの場合フラッシュ撮影は禁止になっているはずです。
しかし展示のスペースの明るさでは自動判別でフラッシュ点灯をしてしまう場合もあります。こうした場合はフラッシュの点灯を強制的に止めるようにしましょう。
・撮影モードで切り替える場合もあります
最近のデジタルカメラには撮影モードに応じてシャッター速度、絞り、フラッシュの有無をある程度プログラミングした「撮影モード」が設定出来るようになっています。
大概の場合、撮影モードはシャッター周辺のダイヤルを回したり、モードボタン+十字キーで設定するようになっています。
こうしたモードの中にフラッシュを発光しないようにするモードもあります。
取扱説明書などでモードの内容と切り替え方法を把握しておき、状況に応じて使い分けが出来る様にしておくといいでしょう。